いつもの収入・経費の記録から、AI が仕訳して帳簿を仕上げてくれる、自分専用の会計ソフトを作りました。屋号の yousystem から取って「you会計v2」と名づけています。
入力は、これまで使ってきた自作の収入管理・経費管理のシステムで続けます。会計ソフトには一件も手で打ち込みません。
青色申告には複式簿記が要る
おかげさまで、2026年10月でフリーランスのシステムエンジニア(クリエイティブエンジニア)として2年目を迎えました。いくつかの顔を持っていますが、収入の柱は想定どおり、システム開発などの IT の仕事です。
事業をしていると、もれなくついてくるのが確定申告です。昨年は会社員としての収入もあったので、今年の申告は白色で行いました。この1年はシステム開発に全振りすると決めていたので、来年の申告も白色です。
ただ、そうも言っていられなくなってきました。再来年(2028年)の申告は青色で出すつもりです。青色申告の最大65万円の控除を受けるには、複式簿記で帳簿をつける必要があります。
白色申告でも、収入と経費は正確に把握しておかなければなりません。そのため私は、自分用に「収入管理」と「経費管理」のシステムを作って運用してきました。


それぞれの説明は割愛しますが、どちらも直感的に簡単に使えることを目指して作り、改良を続けているものです。頻繁に使うものなので、いかに負担なく使えるかに重きを置いています。
ところが、複式簿記は、借方・貸方に勘定科目を振り分ける「仕訳」が前提です。収入と経費を記録しているだけの今の仕組みでは、このままでは青色申告に対応できません。かといって、取引のたびに仕訳を考えて会計ソフトに入力し直すのは、せっかく軽くしてきた入力の負担を元に戻すことになります。
会計ソフトは作る。でも入力はしない
それなら複式簿記の会計システムを作ってしまえばいい、と考えました。
調べてみると、市販の主要な会計ソフトは、日本の細かな税制に丁寧に対応しています。ただ、私の取引は件数が膨大なわけでもなく、仕訳の難しさもさほどではないと見込めました。そこまでの機能は要らないはずです。
そこで方針を決めました。会計ソフトは作る。しかし、面倒な入力はしない。
え? ですよね(笑)。
ではどうするか。これまでの収入管理・経費管理をそのまま使い続けます。そこには少なくとも日付・金額・内容が記録されています。それぞれのデータベースから内容を取り出し、仕訳と入力はすべて生成 AI にやってもらうことにしました。
どう動いているか
流れは次の4段階です。
- 収入・経費は、これまでどおり収入管理・経費管理に入力する
- AI(Claude Code)が2つのシステムのデータベースを読み取り、仕訳を作る
- 仕訳を you会計v2 に取り込む
- you会計v2 で帳簿と試算表を確認する
日々の入力は、使い慣れたシステムのまま
会計ソフトへの二重入力はありません。収入管理・経費管理には手を加えず、データベースを読み取るだけで連携しています。エクスポートの機能を足す改修もしていません。毎日触る入力画面はこれまでと何も変わらないので、帳簿付けのために習慣を変える必要がありません。
仕訳は AI に任せ、迷ったものだけ人が見る
勘定科目は、まず「摘要に含まれる言葉 → 勘定科目」の対応表で決めます。たとえば「ガス」「電気」なら水道光熱費、「家賃」なら地代家賃、という具合です。
# (勘定科目, 摘要に含まれる語) 上から順に当てる。比較は NFKC+小文字
RULES = [
("水道光熱費", ["ガス", "電気", "水道"]),
("地代家賃", ["家賃", "更新料", "バ-チャルオフィス", "バーチャルオフィス"]),
("新聞図書費", ["book off", "書籍"]),
# …(通信費・消耗品費なども同じ形で並ぶ)
]
表に当たらなかったものだけを AI が判断し、私に確認を取ってから帳簿に入れます。表そのものも、AI が過去の経費の摘要を読んで下書きし、私が確認して決めました。
仕訳の形も、自分の事情に合わせて単純にしています。経費は「借方=勘定科目/貸方=事業主借(個人のお金で事業の経費を払った扱い)」、収入は「借方=事業主貸/貸方=売上高」です。インボイスの登録をしていない免税事業者なので、税込で記帳し、消費税の区分は扱いません。
AI が作った仕訳は、弥生会計のインポート形式(25列の CSV)で you会計v2 に取り込みます。業界で広く使われている形式なので、将来ほかの会計ソフトや税理士さんに渡すことになっても、そのまま持っていけます。
必要な分だけに絞った
市販ソフトの機能をすべて作ることはしませんでした。青色申告決算書は、国税庁の確定申告書等作成コーナーに数字を手入力すれば作れるので、you会計v2 では作りません。消費税の申告も免税なので扱いません。
その代わり、帳簿として必要なものは揃えています。


- 仕訳帳と総勘定元帳(科目ごとの取引と残高)
- 残高試算表(合計残高試算表・貸借対照表・損益計算書・前期比較表・月次推移表)と、その A4 の PDF 一括出力
- 期首残高の登録と、翌年度への繰越
- 申告が済んだ年度のロックと、訂正・削除した仕訳の履歴

取り込みは、事前にプレビューして誤りがあれば止まり、同じファイルの二重取り込みも防ぎます。元データに収入が増えたときは、前回の取り込みをまとめて取り消して入れ替えれば、帳簿が最新になります。
結果どう変わったか
2026年分の収入・経費を流してみたところ、300件あまりの仕訳がエラーなく取り込まれ、科目を決められずに保留になったものはありませんでした。試算表の貸借も一致しています。
入力の手間は、以前とまったく同じです。それでいて、手元には複式簿記の帳簿があります。
まとめると、こうなります。
- 仕訳も入力も面倒だからやらない
- だけど青色申告には対応させたい
- 最低限の入力は、使い慣れたシステムでこれまでどおり続ける
- 面倒で大変な作業は、すべて AI にやらせる
この方法が向いている人、向いていない人
同じように「青色申告に切り替えたいが、帳簿付けが重い」と感じている方に、判断の材料を置いておきます。
この方法が向いているのは、次のような場合です。
- 取引の件数が多くなく、出てくる勘定科目が限られている
- 収入・経費の記録が、すでにデータ(表計算ソフトや CSV、データベース)で残っている
- インボイス未登録の免税事業者で、消費税の区分を気にしなくてよい
- 決算書は申告サイトへの手入力で作るつもりでいる
逆に、次のような場合は市販の会計ソフトを選んだほうが確実です。
- 従業員の給与、在庫、たくさんの固定資産など、仕訳の種類が多い
- 消費税の課税事業者で、税率や区分ごとの集計が必要になる
- 銀行口座やカードとの自動連携を前提に、記録そのものを会計ソフトでつけたい
どちらの場合でも、AI が作った仕訳の最終確認は自分で行う必要があります。申告の責任は本人にあるからです。
自分のための「手を抜くための自動化」
私は昨年6月、開発のポリシーとして「手を抜いて欲しい、そのための自動化」を掲げました。コンピューターに任せられることは全部任せてしまう、という考え方です。
you会計v2 は、このコンセプトをまさに自分自身のために体現した形になりました。いつもの記録を続けるだけで、青色申告の帳簿ができあがっていきます。同じ状況にある方なら、試してみる価値のあるやり方だと思います。
使用技術: Next.js, React, TypeScript, Tailwind CSS, SQLite, Python, Claude Code, 生成AI, 複式簿記, 青色申告